ALS -筋萎縮性側索硬化症-
ALS-筋萎縮性側索硬化症-とは?
上位・下位運動ニューロンが変性し、徐々に全身の筋肉の萎縮が進行する原因不明の難病。
有病率は10万人に2−7人。根治療法は確率されていない。90−95%は孤立性で5−10%は家族性。平均生存期間は発症後3−5年。 *1
病気がみえる(医大生、看護学生のバイブル)から引用しましたが非専門医のざっくりした理解を解説します。
ちなみに本書では治療法は「根治療法はなく、リハビリ、緩和ケアが中心」と書かれている。
神経系
- 運動神経:手足や体を動かすための神経
- 感覚神経:温度や振動を感じる、聴覚、味覚などを感じるための神経
- 自律神経:循環、呼吸、消化、排泄、体温調節などの生命維持に働く神経
神経系は上記3つに分類される。ポイントはALSは運動神経のみが徐々に進行性に障害されるが、感覚神経、自律神経は障害されない。知能の障害もない。
一般的な経過
40歳代から50歳代の発症が多い。
症状の経過は様々であるが、代表的な一例を挙げる。
- 疲れやすくなる。
- 上肢に力が入らなくなり、痩せてくる。歩きにくくなる。
- 四肢だけではなく、嚥下機能が低下し、誤嚥しやすくなる。(嚥下筋の萎縮)声が出せなくなる。(発声の筋肉の萎縮)
- 四肢が動かなくなる。自発呼吸ができなくなる。(呼吸筋の低下)
の様な経過が一般的である。自発呼吸ができなくなるまで進行した場合は人工呼吸を併用する。この段階では意識ははっきりしているが、声が出せないので会話は難しいこともある。
眼球運動(眼の動き)は最後まで保たれるので眼の動きで意思疎通を行うことが一般的です。
要は意識はしっかりしているが、数年かけて徐々に進行し、最終的には動けず、声が出せず、ものを飲み込めなくなる。という変性疾患で治療法がない病気。
ということになります。
ホーキング博士
「ホーキング、宇宙を語る」で有名な理論物理学者がこの病気を発症したと言われている。
晩年は意思伝達のために重度障害者用意思伝達装置を使っており、スピーチや会話ではコンピュータプログラムによる合成音声を利用していたそうです。現在は、発声ができなくても意思疎通は可能であるし、ホーキング博士の様に研究もできる時代です。
*1:病気がみえる vol.7 脳・神経