化学療法のFOLFIRIとは?
大腸がんの化学療法の基本薬剤を系統、作用の点から以下の3種類に分類されます。
大腸がん領域でもっとも多く使われている化学療法はFOLFOXやXELOXかと思います。
FOLFOX、XELOXに関しては以前の記事もあります。
FOLFOXやXELOXは、要するにフッ化ピリミジン系の薬剤とオキサリプラチンを併用した治療になります。FOLFIRIは5ーFUの点滴+イリノテカン(商品名:カンプト)になります。
FOLFOXの方がよく使われている理由は術後補助療法には使われないことなど、色々あるかと思いますが、治療効果が劣るということではありません。
術後補助化学療法とは?に関しても記事を書いています。
FOLFIRIはFOLFOXと同列の1st lineの治療として位置付けられています。*1
ですので、FOLFOXやXELOXをなんらかの理由で2nd lineに移るとしてもFOLFIRIの治療効果はそれなりに期待できるはずです。
FOLFIRIの主な注意点
脱毛
抗がん剤で髪の毛が抜けるイメージがあるかもしれませんが、まさにそのイメージです。
対人的な仕事をされている方はなかなか受け入れられないでしょう。
これはイリノテカンによるものと言われています。イリノテカンの投与が終われば脱毛が止まり、きちんと髪の毛が生えてくるのですが、抵抗がある気持ちは非常によく分かります。
下痢
こちらもイリノテカンによるもの。特有の下痢が起こることがそれなりの頻度であります。ロペラミドなどの下痢止めを投与することでコントロールすることが多いです。患者さん自身もきちんと水分(もちろんスポーツドリンクでも良い)をとっておくことが重要である。
遺伝子検査を受ける
UGT1A1という遺伝子多型があります。遺伝子多型は非常に説明が煩雑ですが、アルコールに強い人と弱い人がいるのをイメージされるとわかりやすいでしょう。イリノテカンに非常に有害事象を来たしやすい人がいます。
血液検査で検査できます。検査自体は必須ではないので医師が提案しない場合も十分にありえます。気を遣うかもしれませんが、イリノテカンの治療を受ける人はUGT1A1の検査を希望する旨を担当医に伝えると良いと思います。
患者さん自身も医師に丸投げするのではなく、自分の命と思って伝えると良いでしょう。