医師の本棚

30代の男性医師。読んだ本の感想や医療情報、医学部受験のことを思うままに書きます。

健康の結論 堀江貴文 大腸がん

以前のホリエモンの執筆した書籍、健康の結論に関する記事を書きます。

この本は2年前の本であるが、すごく良い本なので解説していきたい。

 

 

「大腸がんで毎年5万人が亡くなる」

 

現在の日本の死因の第一位はがんです。

その中でも1位は肺がんですが、2位が大腸がんになります。

そして、大腸がん死亡数は年々著しく増加しています。*1

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大腸がんが増加傾向にある理由は、日本社会の高齢化や食事の欧米化など様々なことが言われていますが、根本的な原因は一つではなく、様々な要因が重なって起きていると考えられます。

「検査で早期発見できれば90%以上助かる」

この90%が実際のデータに基づいているかどうかは不明であるが、私個人の意見としては、大腸カメラを2、3年に1回程度受けていれば98%ぐらい大腸がんを予防できると思います。あくまで個人的な意見で客観的なデータはありませんが、肌感覚として、大腸カメラでほぼ完全に大腸がんを予防できると思います。

大腸カメラでほぼ完全に大腸がんを予防できると考える理由は大腸がんの発生過程にあります。

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大腸がんはいきなり大腸がんとして現れるケースは少ないです。ほとんどはadenoma-carcinoma sequence (腺腫ー癌連関)と呼ばれる発生過程を辿ります。

大腸腺腫の状態から数年経過すると、一部が大腸がんになります。その大腸がんが発育して進行して行きます。

なので、数年に1度大腸カメラを受けていれば、adenoma(大腸腺腫でありポリープ)の段階で切除することができます。腺腫ならば癌ではないので、きちんと切除すればそれで治療完了です。

 

「大腸ポリープは1個も100個も取る値段は同じ」

これは日本の保険診療のシステムに基づいているのですが、切除した個数で値段が決まるわけではありません。1個と0個では数千円ほど自己負担が変わると思いますが、1個取ればあとはそれほど値段は上がりません。ポリープを切除しても1万円代で大腸カメラを受けることができると思います。

「大腸カメラは眠っている間に終わる」

麻酔を使うか否かは好みにもよりますが、少し眠くなってうとうとする薬(鎮静剤)を使用すれば眠っている間に終わります。

前処置も検査中も技術や内視鏡自体の機械が改良されており、それほど苦痛なく大腸カメラを受けることができます。

私も大腸カメラを受けましたが、その時の感想を書いています。

doctor-dokusyo.hatenablog.com

 

「40歳を過ぎれば毎年1回便潜血検査を」

実際大腸カメラを数年に1回受ければ問題ないですが、少し抵抗がある人はいるかもしれません。結局どうしたら良いのか?

答えはズバリ40歳を過ぎれば毎年1回便潜血検査を行い、陽性(便に血が混じる)ならば大腸カメラを受ける。これでほぼ大腸がんは完璧に防げると思います。

*1:人口動態統計