医師の本棚

30代の男性医師。読んだ本の感想や医療情報、医学部受験のことを思うままに書きます。

医者が教える正しい病院のかかり方

医者が教える正しい病院のかかり方

著者

専門は消化器外科医。

2010年京大医学部卒業。年齢は公表されていないが、現役か一浪ぐらいなら30半ばぐらいになります。京大。。。

2017年ごろから「外科医けいゆう」のペンネームで医療情報サイト「外科医の視点」を運営して3年で1000万PV越え。

他の著書として以下の本も出版している。 

こんな人が読むべきだ
  1. 普段病院やクリニックにかかっている人
  2. 近々病院を受信しようとしている人
  3. がんと診断されてしまったがどうしたら良いか
  4. どんな風に病院を選べば良いか分からない人
内容
医療情報の集め方

ネットに怪しい、詐欺まがいの医療情報が錯綜しており、何を信じていいか一般の人には分かりにくい。また、検索エンジンで上位だからといっても、広告が入っていたりして、検索の一番上に来るからといって信じられるものではない。

がんの関連情報は国立がん研究センターのがん情報

https://ganjoho.jp/public/index.html

がいい。消化器に関する情報は日本消化器病学会のHPの[患者さんとご家族のためのガイド]

http://www.jsge.or.jp/guideline/disease/

がいいです。

どちらも公的機関のサイトなので間違いは少ないし、自分でサイトを探すよりよっぽどいいでしょう。

 

 

患者さんが知らなくて誤解しているんだろうなと我々が感じていることや、伝えたい事を患者目線から正確に伝えている。

  • 医者との関係性に悩んでいる。
  • どんな病院を選べば良いか?
  • 病院を変えたいけど、医師に気を遣ってしまってなかなか言い出しにくい

私もなんとなく思っていた答えとこの本の内容は一致している。というより、非常に標準的な考え方がきちんと正確に誠実に言語化している。筆者の山本先生の誠実さと知性の高さがこの本から伝わってくる。

非常に複雑な医療情や医療用語を正確に解説している。筆者の試行錯誤がなんとなく伝わってくる。これだけ専門外分野も含めて医療用語を正確に解説されているので、色々な医師も目を通しただろう。ゴーストライターはついていないかもしれない。

この本を読めば、なぜ医者に質問しても複雑な答えが返ってきて混乱すると感じている人がいるとしたら、理由がはっきりするかもしれません。

 

1点だけ個人的に気になったのは、特に前半部分であるが、非常に文章が固くて読んでいてしんどくなる。イラストがなくて活字ばかりということと、医療情報という、そもそも誤解を与えたら患者さんの不利益になるため安易な比喩が使えず、正確に伝える必要があるからだと思う。なので、ある程度複雑になるのは仕方ない。

私は本が好きで活字には慣れているし、医療情報は日頃から触れているが、それでも読んでいて多少疲れた。

なので、全てを正確に理解するのは困難だと思うし、その必要はない。自分に関係のある分野だけでも読んでみると非常に参考になる。

 

少なくとも嘘はないし、非常に標準的なことが正確に書かれているという点で、医療従事者でない人にも強くおすすめできる一冊だと思う。