大腸がんの化学療法 ゼロックス療法 しびれについて
大腸癌の抗癌剤治療
現在、抗癌剤治療は10年前と比べてもよく効く薬が開発され、種類も豊富になりました。
種類が増えて、副作用対策もかなり万全になりました。
しかしながら、種類が増え過ぎて、専門家以外はよく分からなくなってしまいました。
実際に抗癌剤治療を受けている方も、なぜその治療を受けているか理解できずに受けている場合もあるかもしれません。
大腸癌の抗癌剤の基本
上記に挙げられたものがほとんどになります。
あとは上記の薬を組み合わせる治療になります。
5ーFU(ゼローダ)+プラチナ製剤(オキサリプラチン)を加えて、英語で
Xeloda+OxaliplatinなのでXELOX療法になります。
とにかく上記を組み合わせているだけなので、複雑に考える必要はありません。
有害事象① 痺れ
ゼロックス(ゼローダ+オキサリプラチン)の最も多い有害事象はとにかく手の痺れです。
ゼローダは手足症候群といって手や足に疼痛、腫脹、色素沈着が起こります。
オキサリプラチンは末梢神経障害で痺れが出ます。
合わせ技でとにかく痺れます。
対策としては冷たい水に触れたり、冷たい風に当たったりするとピリッと痛みが出ます。
ですので、手袋などで対策することと、手の保湿を心がけることで改善します。
痺れの確認の方法は色々ありますが、
- 自分でボタンを止めることができるか?
- 何もしていないのにピリピリ痺れる症状が3日以上続くか?
という点は非常に重視したほうが良いと思います。
末梢神経障害のgrade分類があります。*1
G0:症状なし
G1:末梢神経症状(多くは指先の痺れ)が出現し、7日未満で消失
G2:7日以上持続する、末梢神経症状
G3:機能障害の発現
また、注意点としては抗がん剤治療が1クール目、2クール目と回を経るごとに痺れの症状が強くなります。徐々に慣れてくると思うかもしれませんが、逆です。
徐々に症状は強くなります。以下、その対策について書きます。
有害事象対策
よく効く薬
実は痺れによく効く薬はあまりないです。
有害事象対策にはプレガバリン(リリカ)やビタミンEを内服、漢方の内服などが教科書的には有効とされています。
しかしながら、一番良くなる方法はゼロックス療法を休薬、中断することです。
休薬、中断と比較すると、リリカやビタミン製剤はほとんど意味がないくらいです。
それぐらい、休薬、中断の方が痺れに対する効果は大きいです。
痺れはなんとなく我慢してしまいがちになりますが、抗癌剤を休薬して、時間を置かないとなかなか改善しないです。
休薬して命に関わるのではないか?
末梢神経障害は命に関わる、というよりは生活に困るという側面が強いため患者さんとしては命優先でなんとか我慢する、と考える人がたくさんいるのは理解できます。しかしながら痺れがG3のgradeまできて休薬期間がかえって長くなる方が問題になります。
stop and go strategyといって適宜休薬、再開する方法でも有効性が減らないことはある程度確立されつつあります。
医師に報告
なので、痺れに関しては主治医の先生にこまめに報告することが重要です。
痺れがきつくなってから、「最近痺れるんです」なんて報告することがありますが、痺れが1週間持続する状態になってしまうと休薬しても改善しない(不可逆)状態になってしまいます。
「聞かれなかったから言わなかった」、「たいしたことないから言わなかった」なんてことが多々あります。
聞かなかった主治医にも問題があるかもしれませんが、主治医のせいにしても痺れはよくなりません。とにかく痺れには敏感にならないと、本当に辛くなるので注意して下さい。
ちなみに痺れは抗癌剤治療を続ければ続けるほど強くなっていくので、徐々に慣れてくるとかそういうケースは期待できません。
とにかく、早めに報告して治療と有害事象(痺れ)のバランスを取らないといけないです。
有害事象② 肝機能障害
オキサリプラチンの有害事象の一つで肝機能障害があります。
専門用語で類洞障害があり、肝臓がやや青っぽくなります。
blue liverと呼ばれます。症状では分かりにくいので、血液検査を定期的に受ける必要があります。
こちらの対策も休薬がメインになります。
抗癌剤治療は色々な有害事象を気にしながら継続が可能かを主治医と相談しながら続けていかないといけないです。