コロナウイルス 治療法 ECMO
ニュースで今世間を賑わせているコロナウイルスの治療法として体外式膜型人工肺 (ECMO)が紹介されていましたので、解説しようと思います。
専門外であるため、詳細は専門家に任せるとして、批判を恐れずにざっくりとした解説をしたいと思います。
コロナウイルスの治療に関して
みなさんが最も関心のあることだと思います。
厚生労働省での情報
現時点で、このウイルスに特に有効な抗ウイルス薬などはなく、対症療法を行います。
と書かれています。
対症療法とは?
誤解を恐れずに言うと気休めの治療、ぐらいに思ったほうが良いかもしれません。
ウイルス自体に有効な効く治療がないのが現状です。
つまり、自分の抵抗力になるので、解熱薬などで体力を消耗しない様にするしかない、ということです。
持病のある人、高齢の人が症状が出やすい、という報道がありますが、つまりそういうことです。
有効な治療がないため、自分の免疫力でウイルスに打ち勝つしかありません。
しかし、持病のある人、高齢者は免疫力が弱いので重篤化しやすいということになります。
ECMOとは
ECMO (extracorporeal membrane oxygenation) (体外式膜型人工肺)と呼ばれます。
ECMOの分類として
- 心肺補助; VA ECMO (V: vein, 静脈、A: artery,動脈)
- 呼吸補助; VV ECMO
の2種類があります。他にも色々細かい分類はあるようですが、大まかな分類です。
いわゆる心臓外科の手術で使う人工心肺 (PCPS)はVA ECMOのことであり、PCPSという単語を使うのは我々、日本人やアジア諸国のみだそうです。
国際化に対応するためにも、我々医師も普段PCPSという言葉はよく使用しますが、これを期にVA ECMOという言葉を使う方が良いと思います。
VA ECMO
VA ECMOの役割は心臓と肺の両方の役割を機械が代わりに行うものです。
- 心臓の役割は、血液を全身に運搬するポンプの働き。
- 肺の役割は、血液に酸素を取り込む働き。
というような理解で良いでしょう。
心臓が悪くなると、酸素を肺に運ぶこともできないので、当然、血液に酸素を取り込むことも出来なくなります。よって心臓外科の手術では、心臓を止めた手術をすることが多いので、その時はVA ECMOを用いて、全身に酸素化された血液を送り出す必要があります。
VV ECMO
VV ECMOの役割は、肺の代わりに血液に酸素を取り込む働きをするものです。
心臓は問題ないけど、肺の機能が一次的に低下している患者さんには良い適応となります。((Extracorporeal Life Support Organization Guidelines (ELSOガイドライン)))
今回のコロナウイルスは、重症化すると重症肺炎になるため、肺での酸素交換が出来ないため、VV ECMOを用いて時間を稼ぐ様なイメージです。
コロナウイルスは、ウイルスであり、一種の風邪の様なものでもあるので、時間を稼ぎながら風邪(重症肺炎)が改善するのを待つ様なイメージで治療を行います。
よってECMO自体が対症療法の一つと考えて良いでしょう。
予防
具体的には、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒などを行い、できる限り混雑した場所を避けてください。また、十分な睡眠をとっていただくことも重要です。
(厚生労働省)
結局は特殊なことは何もなくて、日々のことを淡々と続けるしかないということになります。