ホモデウス テクノロジーとサピエンスの未来 ②
第7章 -人間至上主義-
現代の最も重要な観念が人間至上主義である。という内容が不倫妻を例に出して、非常に分かりやすく書かれていたので紹介します。
ある女性が不倫をした後に「あれは何?なぜあんなことをしたのか?あれは良いこと?悪いこと?自分はどういう人間?またやるべきなの?」
以上の疑問に答えるためにはどうするか?
中世女性の場合
地元の司祭の元へ行き、告白し、指導を乞う。司祭は聖書に精通しており、姦淫の神の考えを正確に明かしてくれる。聖書に基づいて償いをしない限り地獄に落ちると明確に判断する。よって彼女は悔い改め、金貨10枚を寄付し、今後半年は肉を避ける。今後、その恐ろしい罪を二度と犯してはならないと説明される。
現代の場合
人間至上主義では人間の自由意志こそが最高の権威であると説明する。よって現代の女性が自分のしている浮気の意味を知りたい時は司祭や古い書物を参考にすることは考えにくい。むしろ自分の気持ちを注意深く調べるだろう。親しい友人に相談し、コーヒーを飲みながら洗いざらいを打ち明ける。それでもあやふやならかかりつけのセラピストを受診する。セラピストは責めることもないだろうし、褒めることもないだろう。まず間違いなく、「それで、その件についてあなたはどう感じているのですか?」
もちろん本人だけの問題でなく、夫の気持ちはどうなるのか?など様々な議論はあるがここで重要なのは、それに対する立場はその人間(個人)の感情に由来しているということである。
以上の様な人類学的なテーマが非常に分かりやすい例で過去と現代の変化を記載している。
ホモデウスはサピエンス全史の続編の本であり、世界的ベストセラーである。
著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
1976年のイスラエル人歴史学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。オンライン上の無料講義も行い、多くの受講者を獲得している。
最も有名な著書:サピエンス全史は世界的ベストセラー
受験対策(現代文の評論)
サピエンス全史からホモデウスまでを丁寧に読めば、世界史の大まかな流れを確認できるし、文章の構成がすごく分かりやすいので、現代文の評論文対策にいいのではないかと思う。
私が予備校の講師なら本書を模試の問題に使いたくなる。現代文が苦手な学生は一度読んでみるといいだろう。