医師の本棚

30代の男性医師。読んだ本の感想や医療情報、医学部受験のことを思うままに書きます。

がん検診 解説

がん検診に関して*1

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色々な検診がありますが、厚生労働省が推奨している検診は上記になります。

ここの中には腫瘍マーカーやPETーCTは含まれていません。

胃カメラは入っていますが、大腸カメラは入っていないです。

胃がん検診について

胃部X線または胃カメラについて。

X線バリウム検査のことかと思われます。

色々な意見はあると思いますが、胃バリウム検査を受けるなら胃カメラの方が絶対にいいと思います。

バリウムでは早期胃がんを検診でひっかけるのはかなり難しいケースが多いですし、施行する検査技師、医師の技術の差がかなり左右される検査です。

しかも近年はバリウム検査は胃カメラが普及しているのでどんどん件数は減っています。

どうせ受けるなら胃カメラの方が良いと思います。

 

ピロリ菌について

胃がんの原因の90%以上はピロリ菌という細菌が原因であることが分かっています。

現在70歳台以上の人は半分以上の方がピロリ菌に感染していると言われていますが、20から30歳代のピロリ菌感染者は20%程度と言われています。

ピロリ菌感染者は胃がんのリスクがあり、日本は歴史的にピロリ菌感染者が多い国であるため昔から胃がん検診は推奨されてきました。

しかし、日本の衛生環境が良くなって、ピロリ菌感染者がどんどん減っている状況です。

ピロリ菌感染の検査は

等で簡単に調べることができます。

ピロリ菌感染していれば1週間の内服で除菌できます。

ピロリ菌感染していない人(いわゆるピロリ未感染者)は胃がんのリスクがかなり低いと考えられます。ですので、衛生環境が良くなった日本で、いまだに毎年胃カメラが必要かと言われると疑問に感じます。

私が毎年胃カメラを受けた方がいいと思うのは、ピロリ感染が診断された人のみです。

未感染の人は、毎年受ける必要はない様にも思います。

子宮頸がん検診について

子宮頸がんの原因はHPVウイルスの経膣感染によるものが原因です。

つまり性行によりHPV感染が繰り返されることで、子宮頸部が徐々に異型度が高くなり、運が悪いと子宮頸がんを発症します。

HPV感染して必ずがんになる訳ではありませんが、sexial activityの高い女性はriskになります。

逆に性行歴がない場合は子宮頸がんの検診は必要ありません。

HPVワクチンがあり、接種することで予防できます。

HPVワクチンに関しては重篤な副反応があるとのことで、各自治体に任されています。

 

HPVワクチンの接種を義務化するか、任意接種にするかは非常に大きな問題であり、現状は任意接種になっています。

ちなみに、副反応に関しても真実かどうかも賛否両論あり、非常に難しい問題です。

ただ、私が女性なら接種すると思います。

 

肺がん検診

肺がんの早期発見ははかなり難しいと個人的には思っています。

もちろんX線で異常陰影が指摘されて発見されることはそれなりにあります。

しかしながら、X線で早期発見は難しく、X線でわかるケースはそれなりに進行して、肺がんが大きくないと映らないケースが多いです。

レントゲンではっきりと写らない肺がんは必ずあるし、喀痰細胞診だけで肺がんを診断できる人は見たことがありません。

肺がんが見つかるきっかけで多いのは症状が出て、検査されて診断されるか、偶然撮ったCTで肺がんが発見されることが多い印象があります。

 

検診でCTを撮影するといいか、と言われるとそれも疑問です。

胸部CTはそれなりに被曝量があるので、被曝が原因でがんになったり、その他の体の異常が出るのも本末転倒になります。

よって肺がんの早期発見は難しいと思います。

大腸がん検診

推奨されているのは、問診と検便だけなので、全く侵襲がない検査なので非常にいい検査だと思います。

しかも、大腸がんは近年増加傾向にあるので、検便の検査は必ず受けることをお勧めします。

 

検便は2回行うことが多いですが、1回でも陽性であった場合は大腸カメラを勧められます。

大腸カメラを受ければ、大腸がんを早期発見することは比較的簡単になります。

ですので、検便で1回でも陽性であれば、大腸カメラはきちんと受ける様にすれば、大腸がんは完璧に予防できると考えます。