医師の本棚

30代の男性医師。読んだ本の感想や医療情報、医学部受験のことを思うままに書きます。

研修医 日常業務

市中病院の研修医は病棟業務と救急当直の2つがメインになります。

数ある仕事の中で研修医が一番輝くのは、夜間の救急外来でしょう。

 

研修医の病棟業務

普段の病棟業務は上級医と一緒に患者さんを担当します。

なので、自分の判断で指示を出すことは基本的にはありません。

上級医の許可なく、指示を出す初期研修医の話は稀に聞きますが、

仮に正しい対応でも、優秀とはみなされません。

むしろ、危なっかしいと判断されます。

まして、上級医がいるのに研修医の判断で患者やその家族に病状説明を行ったり、

処置を勝手に行う研修医の話を稀に聞きますが、トラブルの元となります。

 

よって研修医は基本的には見学に近い状態となります。

良いか悪いかは別として “学生の延長” という傾向があります。

 

なので、日中での研修医の身分なんて知れたものです。

研修医自身も、複雑な思いを抱えながら、日々勉強していることでしょう。

 

私の以前の経験を振り返っても、特に内科をローテートしていた時は

カルテは記載しますが、もちろん上級医も私と同じ様な内容を記載します。

要は研修医がいてもいなくても、代わりないのです。

 

救急外来

夜間の救急は、研修医にとっては別の意味合いです。

夜間の病院は基本的には常勤医は表向きは帰宅しています。

もちろん、実際は院内で、自分の仕事をしていますが。

 

なので、その日の救急当番に当たっている研修医は、良くも悪くも自分の判断が求められます。

もちろん、研修の身なので、一人で判断する必要はありませんが、

一緒に当直する常勤医が専門外であることがほとんどです。

専門外の知識に関しては、知識が一番フレッシュな研修医の方が優っていることもあります。

ですので、夜間の救急は研修医が自分の普段の勉強の成果を発揮する場でもあります。

 

研修医の頃は、若さも後押しして、救急当直は好きでした。

(驚くほどの薄給でも)

当直した分だけ、勉強にも経験にもなりました。

 

麻酔のかかっていない患者の気管挿管、胸腔ドレーン挿入、中心静脈挿入など

なかなか病棟では出番の回ってこない手技も経験できました。

 

いわゆる経験を積みたい研修医は、積極的に当直をしましょう。

 

ちなみに当直明けは最近は必ず帰ることが決まっていることがほとんどでしょう。

10年前は当直明けも、特に普段と変わらずに日中業務に従事していました。

おそらく、いわゆるブラック企業の様な働き方をしていた最後の世代だと思います。

 

引いてしまった時の当直明けは睡眠不足で、明らかに効率が落ちます。

研修医が病棟にいてもいなくても業務は進むので

当直はしっかり頑張って、朝はさっと帰るのが良いと思います。

平日にお出かけ、なんてのも研修医の特権ではないでしょうか。

忙しく仕事をしている白衣の男性のイラスト

救急の勉強法

当時は救急のDVDがあったし、

福井大学救急部の林先生の救急の本はポップで読みやすかったです。

 

でも、何より自分の病院の患者をチェックするのが一番勉強になると思います。

自分が入院させた患者に関しては、その後どうなったか、

必ず電子カルテで毎日チェックすると良いでしょう。 

 

私は研修医の頃は毎日、救急外来の入院歴を確認してカルテチェックをしていました。

早くから消化器外科医になろうと思っていたので、

とにかく腹部CTは細かく確認して、その後の放射線科のレポートを照らし合わせるようにしていました。

それだけでもかなり腹部CTは読めるようになります。

こういう努力は、どんな病院で研修しても可能です。