清潔ルート 不潔ルート
コロナウイルス関連。
クルーズ船の清潔ルート、不潔ルートについて解説します。
清潔とは
清潔とは、完全に滅菌済み、という意味です。
滅菌とは、熱や薬品などで微生物を完全に死滅した後、という意味です。
不潔とは、清潔でないものです。
人間自体を清潔にすることは出来ません。人間を滅菌したらタダでは済みません。
人間の体は、どんなに風呂に入ろうが、消毒しようが、滅菌は出来ないので人間は不潔、ということになります。
医療業界でいう「清潔」というのは世間でいう清潔感、という清潔とは意味が少し異なります。
よくあるのは滅菌手袋です。
滅菌手袋もその手袋を装着して、机を触ったり、人を触った瞬間に不潔になります。
清潔、とはそれぐらい厳密なものです。
例えば清潔手袋が突然人の手に触れたり、机の上に置いたりした瞬間に清潔ではなく、不潔になります。
なので、ここからここは清潔ゾーン、ここからあっちは不潔ゾーンの様な区切り方自体が不可能ということになります。
どういうつもりで清潔ゾーン、不潔ゾーンの分け方をしていたのかは不明ですが、クルーズ船の中に医療従事者が多いわけではないのである程度仕方ないかとは思います。
清潔ゾーンにアルコールスプレーをどれだけ振りかけても、清潔にはなりません。
我々医療従事者は清潔、清潔でない(不潔)の区別には習慣的に神経質になっています。
ですのでクルーズ船の清潔ゾーンという言葉に対して、医師を初めとする医療従事者が過敏に反応している様に思います。
清潔ゾーンを準清潔ゾーン、ぐらいのネーミングにしておけばこれほど大声で批判を受けることはなかったかもしれません。
清潔はいつまで清潔か?
非常に難しい問題です。
清潔の手袋を開封してしまった瞬間に、その場で使わないと清潔手袋の意味がなくなります。
その手袋も清潔のまま数時間経つと清潔とは言えなくなります。
空気にもミクロレベルの雑菌やウイルスが宙を舞っていると考えるからです。
開封して何時間まで清潔と言えるか、厳密なルールはないと思います。
要は微生物が完全に死滅している状態ですが、空気中にも微生物は存在するので、空気は清潔ではありません。
結局は清潔、という概念自体が厳密な様で、曖昧なものです。
医療従事者が過敏に反応
心情として、限られた空間の中で感染がより強く疑われるゾーンと安全なゾーンを分けたくなるのはよく分かります。
清潔という言葉を選択するのも特に変なことではないと思う。
世間では清潔感、という言葉はよく使います。
ただ、医療従事者が使う清潔は厳密な滅菌された状態であり非常に敏感です。
言葉のニュアンスで医療従事者が過度に清潔ってどういうことだ!という様な言い方になってしまっている様にも感じます。
そこまで過度に清潔という言葉に厳密な意味を持たせているのは、医療従事者だけなのでわれわれも一般の言葉の使い方と医療用語の意味が乖離していることを再認識する必要があると感じた。